• 博報堂DYメディアパートナーズ
    データドリブンビジネス開発センター
    ナレッジビジネスプロデュース
    スーパーバイザー
    2008年入社

  • 博報堂ケトル
    プラナー
    2009年入社

篠田と陶國。データとクリエイティブという、一見離れた領域の専門家をつないだのは、プログラミングと舞台という意外過ぎる共通の原体験だった。
ふたりは、コミュニケーションにデータという視点を取り入れ、あたらしい広告のあり方を模索している。

生活者を知るための手段、それは従来アンケートなどの調査が中心だった。しかし近年では、生活者の検索、購買、ウェブサイト閲覧など様々なビッグデータを活用することが可能だ。キャンペーンを成功に導くためには、それらのデータを高度に分析し、企画に落としこむことが求められる。異なる立場でその最前線にいるのがこの二人だ。

篠田 「僕は広告コミュニケーションに関わるデータ分析全般を担当しています。特にウェブサイトの閲覧データや検索データなどの生活者のメディア接触に関するビッグデータを用いて機械学習でモデリングをし、コミュニケーションのプラニングや、広告効果のシミュレーションをしています。また、分析した結果をデータビジュアライズすることもあります」

陶國 「僕は、入社は博報堂DYメディアパートナーズ、最初の配属はi-メディア局(現博報堂DYデジタル)でした。そこで、篠田さんとは同じ局の横の部の先輩として知り合いました。その後、メディアを横断して最適なメディアプランを設計する部門、メディアを使った企画を創り出す部門へと異動し、2016年10月に現在所属している博報堂ケトル出向になりました。博報堂ケトルは『手口ニュートラル』という考え方を標榜するクリエイティブブティックです。手口ニュートラルというのは得意先の課題をCM、グラフィック広告を始めとした、いわゆる“広告”から、イベントや販促領域、デジタル、PRなどすべての”手法=手口”を選ばず解決していくという考え方です」

篠田 「そうか、初任は同じ部門でしたね」

陶國 「はい、最初の部門で出会った時は、篠田さんは隣の部の先輩でした。変人な先輩がいるなぁと思ったことと、データやプログラミングのスキル、知識すべてすごい人がいると驚いたことを覚えています」

篠田 「それはどちらも言い過ぎですが、僕は、いわゆる生粋のギークではないんですね。もともと、中学・高校では、漫画や油絵を描いており、漠然と表現に関わる仕事がやりたいと考えていました。一方、陶國くんや僕の中学生時代、つまり1995年前後は、ちょうど初期のインターネットブームで、HTMLでホームページ作って、CGI書いて掲示板設置して、ということをしていました。その後、flashがでてきてactionscriptでインタラクティブな表現が作れるようになったり、個人制作のデジタルアニメーションが盛んになったりするにつれ、自分も多くのサイトやアニメーションを作りました。そのような時代の中で、自分はどうなりたいのか、何を武器にしていきたいか、ということを考えたとき、深くアカデミックにプログラミングを学びたいと思い、大学ではコンピュータサイエンスを専攻しました。同時に、大学では、演劇サークルに所属し、役者のほか、宣伝美術や舞台美術をやっていました。その後、表現、テクノロジーどちらにも関わる仕事がやりたいと思い、広告会社を志望しました」

陶國 「僕も篠田さんと同じく、中学生時代のころにインターネットを始めてHTMLで個人のページを作ってみたり、稚拙ながらもプログラミングでフリーウェアをつくって配布したら雑誌に載ってみたりと、何かをつくるということはずっと好きでした。高校からお笑いを始めて吉本興業に所属したりM-1グランプリで準決勝まで行ったりしましたが、学業との両立を考えて大学時代に辞めました。大学でお笑いを辞めて以降、自分が何をしたいのか改めて考えた時に、小学生時代からCMプラナーやコピーライターという職業にあこがれていたことや、広告業界の人たちが映画を作ったり商品開発をしたりと、広告という領域にとどまらず『企画する』『つくる』ということを幅広く実践していることを知り、広告業界を目指すことになりました」

篠田 「なるほど。僕と陶國くんで、キャラクターもキャリアも全く異なりますが、プログラミングと舞台、という共通点があるのは面白いですね」

陶國 「ですね。実は直接業務で篠田さんと関わったことは今までないのですが、もともと共通点のある2人のキャリアがどんどん離れてきたからこそ、お互いの領域の話をし合うことが非常に刺激になります。特に、データとクリエイティブを繋いでいきたいと思っている僕としては、篠田さんのようなデータ領域の人たちと業務だけでなく常に接し合うことで『次のあたらしい形』をつくりだすきっかけになっていくのでは、と思っています」

篠田 「僕も常に陶國くんからは刺激をもらっていて。隠し武器を持っていそうな人、つまり強みが一つだけではない複合的な人が好きなんだと思います」

篠田 「近年、特にデータをいかに活用するか、が注目されがちですが、これまでも広告会社はデータの会社であったと思っています。実際、昔から広告会社にデータ分析部門はありました。ただ近年変化してきたのは、扱うデータと手法です。従来はアンケートなどによる調査データが中心でしたが、それに加えて、今は購買データや、検索データなど、生活者の実際のリアルタイムの行動データをも用いて解析しています。またデータ分析も、これまではいわゆる統計的な手法がメインでしたが、生活者のひとりひとりのデータが大量に生成されるようになったことで、現在は、機械学習によるモデリングを用いてデータ分析をすることが多くなっています。ただ、昔も今も、目的は生活者を理解して企業の広告コミュニケーションに活用することだと思います」

陶國 「そうですね。さらに生活者をとりまくメディア環境が複雑化したことで、すべての施策を横断して設計していく統合マーケティングが求められています。その中で、データで生活者をターゲティングする、データで広告効果を測るということが非常に重要になってきたと思います。今までは、統合コミュニケーションとは言え、クリエイティブ領域と戦略領域(データの領域やストラテジックプラナーの領域)は比較的距離があったと思います。しかし今後はどんな行動や属性のひとにどんな表現や施策を当てて、そしてどんな効果があったか、というところを一貫して見ることができる人が求められていると思います。いい表現をつくって終わりではなく、こういう人にこんな表現をあてたら、こんな結果だから、次はこういう風にチューンナップしようと、いわゆるPDCAサイクルを回すということです。施策の実施結果の報告(レビュー)を人任せにするのではなく自分の言葉でデータを元に話せるクリエイティブ職になりたいと思っていますし、自分自身の過去のキャリアを考えるとそれをすべきチャンスだと思っています」

篠田 「まさに。データの価値とは、コミュニケーションの最適化を”ビジョンやコミュニケーションの方向性”と紐付けて指し示すことだと思います。たとえば、とある都市の観光プロモーションを担当するとして、観光客増加のための分析を始める前に、そもそも、その都市がどのような都市でありたいか、どのような観光客に来て欲しいのか、そのビジョンを、データ分析の結果を用いて、クライアントと一緒に考えることが重要です。全体の観光客数増加などは確かに大事ですが、そのビジョン達成のための、手段であると思います。ご担当させていただいた神戸市の観光案件は、神戸市の方々と共に、神戸市のあるべきビジョンを、データから考えることができた仕事でした。ビジョンが決まると、次に、”そのビジョンの達成度”とは、どのようなデータを用いるとリアルタイムに計測できるか、を考えることが重要になります。たとえば検索数でわかるかもしれないし、滞在時間かもしれない。データ分析は、クライアントの目的を指し示すこと、そしてその目的達成のためにはどのようなデータを収集して、どのように計測するべきか、を考えることが重要だと思います」

陶國 「企画やクリエイティブでのデータ活用もまだまだ可能性がありますよね。データ解析をばりばり使う業種やブランドと、大胆な表現を目指すブランドというのはわかれがちで僕自身は後者のブランドを担当することが多いです。データそのものを使ったお仕事で言うと、ヤフーさんと実施させていただいている「Yahoo!検索大賞」では、検索急上昇データを活用してその年話題になったものを表彰しています。検索データという生活者の行動そのものを可視化する、新しいアワードだと思います。また、生活者からは見えない部分においてもデータをつかった細かな施策を入れ込むことを意識しています。たとえば、ユーザーの行動履歴によって見せるコンテンツを変えて表示する、デジタルメディア上での広告表示させるユーザーを特定の区切り方で絞るやり方は通販系などではセオリーなのですが、その同じ方法をおもしろ動画をみせるバズ企画にも適応してみたりと、”ふざけた企画をデータで精緻化”というモットーでプラニングしています」

篠田 「”クリエイティブ”と”データ・分析・テクノロジー”、と聞くと、相反するものであり、別々の人が担当する別のものと思う方もいるかもしれません。しかし、クリエイティブとデータの根幹は同じものだと思います。クリエイティブというと、何か特別な感性によるものに思えますが、その感性とは、今風にいえば、これまでの体験と現在の環境というインプットに対するニューロネットワークのアウトプットですね。一方、データというと、冷たくて無機質なものに聞こえますが、感情で動いている人の行動の結果だったりします。レオナルド・ダ・ビンチが、『私の芸術を真に理解できるのは数学者だけである』と言っています。また、僕は弘法大師・空海が大好きなのですが、彼は、仏教はもちろん、”弘法も筆の誤り”と言われるほど、書道というクリエイティブ領域の達人でしたが、同時に、建築土木にも非常に優れておりました。サイエンスの原理に基づく心や行動の動きをいかにクリエイティブやコミュニケーションに落としこむかを、どれだけ一体のものとして捉えることができるか、が重要なのだと思います」

陶國 「博報堂ケトルは博報堂からの出向の人がほとんどの中で、僕が初めてのメディア事業会社の博報堂DYメディアパートナーズからの出向です。デジタル×メディア×クリエイティブというキャリアを経て、今までの博報堂ケトルに新しいデジタルやメディアの視点を加えていくことを意識しながら企画づくりを行っていきたいと思います」

篠田 「一緒に仕事をする機会は、すぐにやってきそうですね」

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