• 博報堂DYメディアパートナーズ 動画ビジネス局
    メディアプロデューサー
    2013年中間入社

  • 博報堂 営業局
    アカウントエグゼクティブ
    2014年入社

営業・福井麻友子は、初めて仕事を共にする田中のことを上司に尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「おまえの10年後だよ」。田中美奈子は、チームの熱量と、リアルな感覚を大切にするクリエイターだった。

福井 「妊娠検査薬は広く知られていますが、私たちが担当した『ドゥーテスト排卵日予測検査薬』は、これからもっと認知されて、妊活の第一歩として普及していくフェーズです。だから、まずは世間に商品を知ってもらい、妊活をはじめやすい環境をサポートしたい、というのがクライアントの要望でした。また、ただ「赤ちゃんができやすい日が分かる商品」と打ち出すのではなく、その先にあるもの。夫婦で話し合うこと、コミュニケーションや絆をテーマにして届けたい、という想いをクライアントと共に抱いていました」

田中 「クライアントは女性の担当者で、我々のチームも企画メンバーは全員女性です。妊活商品というデリケートなものですし、20代後半から30代とコアターゲットがはっきりしています。女性は特に年齢やライフステージによって「リアルに感じること」が変化すると思います。今回はメンバーの年齢層がコアターゲットとほぼ同じだったので、議論もかなりリアルでした」

福井 「自分が将来的に使うかもしれない。他人事ではない。そんな風に等身大で感じられるからこそ、商品に対する思い入れもありましたね」

プロジェクトを牽引する田中と、営業の福井。年次の差はちょうど10年。初めてタッグを組んだ2年前を二人が振り返る。

田中 「私は東京で福井は当時は関西支社の勤務でしたから、元気な新人がいるなあって、なんとなく知っている程度でした」

福井 「私はそれまでずっと男性ばかりのチームで動いてきて、女性とチームを組むことは未知の体験でした。しかも10歳上の先輩ですし、どんな人なんだろう、うまくやっていけるか、と少し不安だったんです。ただ、私に田中さんと組むことを薦めてくれた上司が“おまえの十年後だよ”と言っていて(笑)。実際に田中さんと一緒に仕事をするようになって、尊敬できる先輩、自分もこうなりたい!と思う理想像のような人でした」

福井 「チームは全員女性なので、さながら女子会のような雰囲気で仕事をすることもありました。女子会はそれぞれが自分の言いたいことだけ喋って終わり、というイメージもありますが、私たちは打ち合わせで各自がリサーチしてきた妊活情報や企画案を共有しはじめると、その背景や本質、役割って何だろうと自然と議論になる。自分ごと化して考える事もしばしば。赤ちゃんがほしい家族に本当に響くものを作りたい、という熱い想いをみんなが持っていたので、先輩・後輩とかは関係なく、みんなで本音をぶつけあった。だからこそ、仕事中でも楽しいけど、建設的な話ができるチームだったと思います」

議論は白熱したが、その中身は非常に繊細かつ慎重なものだった。

福井 「そもそもセンシティブな商品ですし、法律の規制もあるので、表現が限られるんです。とはいえ、あまりにも尻込みした表現では伝わらない。議論を尽くして、膨大な数のコピー案を出してみるんですけど、見比べてみるとほとんど同じなんてこともありました。さまざまな制約の中で、どうチームの意志を表すのか?を考え続けました」

田中 「CMだけではなく、Web動画も丁寧につくりました。動画のテーマは「ふたり妊活」。どうしても女性側ががんばってしまう妊活を、「ふたりのもの」にしたかったんです。だからフィクションじゃなく現在進行形で妊活中のご夫婦に出演してほしかった。妊活の不安や悩み、カップルの間である気持ちのズレなど、本当は語りづらいことを本音で語れる方をオーディションで何度も募って、会って。動画出演を通して夫婦ご自身、女性だけではなく男性側にもリアルな気持ちの変化を起こしたかったんです。そのリアルさが、見る人にも共感を生むと思っていたので。時間は掛かりましたけど、どうしてもこだわりたかったところです。そんな私たちのこだわりは、クライアントも後押ししてくれました」

福井 「女性からのお褒めの言葉はもちろん嬉しかったですが、SNS上で、男性からの“奥さんと話そうと思った”というコメントが散見されて、本当に嬉しかったですね。妊活に取り組む夫婦が話し合えるキッカケやふたりで妊活をするうえでの絆を作ってほしい、という想いが形になった手応えを感じました」

生活者へのコミュニケーションの形はさまざま。その中でも、Webサイトの情報展開には特に緻密な戦略を織り込んだ。

福井 「リサーチをすると、妊活をしている方たちは夜な夜なネットで検索をしていることが分かりました。排卵や妊活といったキーワードで、ずっと検索しては、いろんなサイトやSNSを行ったり来たりしている。妊活をはじめると知りたいこと、不安になることが多いんです。そこで『ドゥーテスト』のWebサイトではあちこちいろんなページへ飛ばなくてもいいように、妊活から出産までの情報を分かりやすく丁寧に集約しました。妊活をしている生活者に寄りそうブランドとして、必要なこだわりだと思いました」

センシティブな商品とターゲットに対する慎重な気遣い、そしてターゲットと同性同年代だからこその等身大の目線が、優しさに溢れた広告を生み出した。

『ドゥーテスト』コミュニケーションの成功は、女性チームならではのものだった。

福井 「女性にはこの商品は無理だ、女性にはこの仕事量は無理だ、そんな風に男女で仕事を区別されていると感じたことは一度もありません。いい意味でフラットな会社だと思います。自分が抱えすぎてキャパオーバーになりそうな時は、ちょっとキツイのでフォローをお願いします、と相談できる環境ですし。先輩や後輩の関係も近くて、風通しのいい会社だと思いますね」

田中 「福井の言う通り、男女の性差はないと思います。特に、若手がすごくしっかりしている印象です。入社して数年の子が大きな仕事をしたり後輩の面倒を見たりしている姿を見ると、きちんと能力を伸ばすことを考えながら任せてくれる会社だと思います。20代は仕事が楽しかったから、仕事ばかりしていました。でも、後輩ができたりチームをひっぱる立場になっていく中で、チームや後輩の働き方も意識して、仕事のペースを見つめ直しました。会社は個人のリズムや意識を尊重してくれる土壌があると思います。求めれば、面白い仕事はいくつもある。仕事と休みの両方を大切に、ワークライフバランスをとりたいと思えば、効率的な働き方やペースの生み出し方を探っていくヒントは周りにたくさんあると思います。女性は特に、気持ちや身体やライフステージの変化が、仕事に対する考え方に大きく影響すると思います。“やらされる”感覚ではないので、自分で気持ちのいい働き方を探していけばいいと思います」

福井 「確かに田中さん、土日きっちり休んで、遊んでますよね。1泊でスノボに出掛けたり…」

田中 「いやいや福井も、仕事が終わって翌朝にサーフィンしてますからね(笑)。仕事もプライベートも全力で楽しんでいます。エネルギッシュだからこそ、仕事も安心して任せられるんですけど」

二人は楽しそうに“等身大の女性”を話し始めた。きっとここから、生活者の心を動かすヒントが、また生まれるのだろう。

  • 01 排卵日予測検査薬『ドゥ―テスト®』妊活について夫婦で話し合う大切さをコミュニケーションのテーマに展開。

  • 02 スキンケア商品『IROHADA』くすみ対策の統合ブランドコミュニケーションも等身大の女性チームで担当。